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名前のない鳥



以下、本文抜き出し。

昔々、とある所に一匹の鳥がいました。

 その鳥は昆虫や動物、そして木の実等を食べるのではありません。名も無きその鳥は、お金、名声、夢、そんなものを主食としていました。

 ある日の事です、鳥は生まれ故郷を出ようとします。でも親鳥はそれを必死になって止めました。
「ここにだって、沢山食べるものはあるよ」
 だけど鳥は聞きません。
「ここには俺のやりたい事はない、ここには俺の目指すものもない。だから、俺はこの町を出る。そして…世界中に俺の歌を響かせてやる」

 お父さん鳥は止めました、お母さん鳥も止めました。友達、親友、恋人、仲間、みんなが彼の前に立ちました。だけども彼の決心は覆りません。結局名もなき鳥は、親を、友を、恋人を、全てを捨てて大きな街へと旅立ちました。

 
 数年が経ちました。いくつもの木々が葉を付け、いくつもの虫たちが生まれては命を終えます。鳥は頑張りました。僅かなチャンスにしがみ付き、どんな小さな希望もにすり寄る。例え間違った事をしても構わない。体を、心を、全てをすり減らしながら挑んでいきます。その結果裏切られてはまた挑戦する。途方もない繰り返しです。倒れ、起き上がり、そして再び打ちのめされる。努力と結果は結び付かない。学校では教えてくれない事を学びました。

 りっぱな鳥になりました。お金は得ました、横にいる伴侶だっています。世界的にとは言えませんが、そこそこ有名にもなりました。これが幸せというものだ、これが欲しかったものだ、これが……現実なんだ。


 鳥は歌います。鳥は叫びます。叫び続けます。喉が枯れても、声がしゃがれても、例えそれが出なくなったとしても。ある日、気付きました。鳥の声は単なる泣き声だったのです。誰よりも、何よりも、自分自身が一番よく分かっていました。何もかも得たようで、実は何もかも得ていないという事を。

 鳥は歌うというより呼びかけました。気づいたら、名前を叫んでいました。それは昔の名を、それは大好きだった人の名を、それは…もう二度と触れる事が出来ない名を。鳥は分かっていませんでした。大切なもの、幸せなこと、一番大事なひと、それら全てがすぐそこにあったという事を。気付いた時には、鳥の声は既に枯れていました。

 後に残るは、ゆっくりと横たわり、冷たくなる体。

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仕事くれと思ったり、仕事辞めてぇと思ったり、ニート最強と思ったり、そんな有意義な事を考えつつちまちま更新(?)していくブログです。

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